ドイツ陸軍レシピ集DEUTSCHES FELDKOCHBUCH ARCHIVE
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野戦の台所に、
教科書があった。

1941年の公式野戦料理書『H.Dv.86 Feldkochbuch』から、兵士自身の手引『Tornister-Lexikon』(1943)まで。ドイツ陸軍の調理兵と兵士たちが学んだ料理を、公開英訳で確認した原典の内容と、材料・作り方の現代語訳で読む史料レシピ集です。帝国海軍レシピ集の姉妹編として、同じ形式でまとめました。

収録方針と訳について:ドイツ語原書の全文は、日本の海軍教科書のように無料公開されていません。そのため本ページでは、原書にもとづく公開済みの英訳(研究者による翻訳)で内容を確認できた料理だけを載せています。各レシピに併記したドイツ語文面は、原書からの逐語転記ではありません。公開英訳で確認した料理名・分量・手順をドイツ語に再構成したもので、「ドイツ語版(公開英訳にもとづく再構成)」欄に示します。「原典の内容」欄にはその英訳にもとづく要旨を示します。確認できない内容を創作して載せることはしません。分量は原典の基準(1人前/4人前)をそのまま記します。

野原に止めた野戦炊具車(グーラシュカノーネ)の周りで、大釜をかき混ぜ、じゃがいもやキャベツの下ごしらえをする野戦服姿の調理兵たちを描いたイラスト
挿絵:野戦炊具車(グーラシュカノーネ)の周りで調理する様子を描いたイラストレーション(写真ではありません)

TODAY'S DISH

今日の1品

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四つの出典

ドイツ陸軍の食は、馬で牽く野戦炊具車――兵士の俗称で「グーラシュカノーネ(グーラシュ大砲)」――を中心に回っていました。ここで扱うのは、公式料理書から兵士向けの実用手引まで、性格の違う4つの出典です。

1941昭和16年

H.Dv.86 Feldkochbuch(野戦料理書)

1941年8月16日付けの国防軍公式の野戦料理書(陸・海・空共通版)。124ページに野戦厨房での調理の基本、煮込み(Eintopf)の作り方、肉料理の基礎を収める。本ページの煮込みと肉料理の中心的な出典。

発行:1941年/ベルリン、Erich Zander印刷所
1942昭和17年

Kleines Feldkochbuch(小型野戦料理書)

Merkblatt 61/15(1942年7月20日)。野戦炊具車がない場面での「間に合わせ調理(behelfsmäßiges Kochen)」の小冊子。飯盒(Kochgeschirr)で5人前後の分量を作る前提で、グーラシュの作り方が手順番号付きで残る。

発行:Merkblatt 61/15、1942年
東部戦線向け

Östliche Speisen nach deutscher Art

「ドイツ風・東方の食事」。陸軍総司令部(OKH)が東部に従軍する兵員のために編んだ料理書。現地で手に入る食材とロシア式の厨房を使う前提で、ボルシチなど現地の料理もドイツ風に取り入れている。

発行:陸軍総司令部(OKH)
1943昭和18年

Tornister-Lexikon für den Frontsoldaten

Gerhard Bönickeによる「前線兵士のための背嚢(はいのう)事典」。国防軍が兵士に配った生活の手引で、野戦厨房の残り物でも自分で作れる簡易レシピ集を含む。分量は「飲用カップ(Trinkbecher)」で示され、4人前が基準。

発行:1943年/著者 Gerhard Bönicke

レシピを探す

カテゴリと出典で絞り込めます。各レシピは「材料(原典の内容・公開英訳より)」「材料(現代語訳)」「ドイツ語版(公開英訳にもとづく再構成)」「原典の内容」「作り方(現代語訳)」の順で読めます。材料の現代語訳では、ドイツ語の材料名を今の日本の言い方に置き換え(Kartoffeln→じゃがいも、Zwiebeln→玉ねぎ、Mehlschwitze→ルウなど)、分量そのものは英訳で確認した原典の記載のままにしています。分量の基準は出典ごとに違います――『Feldkochbuch』系は1人前、『Tornister-Lexikon』は4人前――ので、各レシピの冒頭に明記しました。

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原典を読むための用語集

ドイツの野戦厨房には、独特の道具と調理言葉があります。現代語訳を読む手がかりに。

グーラシュカノーネ(Gulaschkanone)
野戦炊具車の兵士流の俗称。「グーラシュ大砲」。煙突の立つ大釜を積んだ馬牽きの炊具車で、ドイツ陸軍の温かい食事の中心だった。
アイントプフ(Eintopf)
「一つの鍋」の意。肉と野菜とじゃがいもを一鍋で煮込む、野戦厨房の基本形。燃料と水を節約でき、大量調理に向く。
コッホゲシル(Kochgeschirr)
兵士個人の飯盒。本体1.71リットル、蓋0.54リットル。簡易調理では蓋をフライパン代わりに、本体を鍋に使った。
トリンクベッヒャー(Trinkbecher)
飲用カップ。『背嚢事典』の計量単位で、1杯=約16テーブルスプーン=1/4リットル。小麦粉なら約125g、米なら約220g。
メールシュヴィッツェ(Mehlschwitze)
脂肪で小麦粉を炒めたルウ。スープ、ソース、野菜のとろみ付けの基礎で、原典では「Roux」とも記される。
ペルカルトッフェルン(Pellkartoffeln)
皮付きのまま茹でたじゃがいも。皮をむくザルツカルトッフェルン(Salzkartoffeln)より栄養が残り、節約にもなると原典が勧める。
ビュクセンフライシュ(Büchsenfleisch)
缶詰肉。加熱済みで塩味も付いているため、煮込み時間は「温めるだけ」に短縮できる、と原典が注意する。
ズッペングリュン(Suppengrün)
人参・セロリ・リーキなどのスープ用野菜の束。出汁と煮込みの風味の土台になる。

出典・原典にあたるには

このページの材料と手順は、以下の公開された英訳・研究ページで確認した原典の内容に基づきます。